制震にはどんな種類がある?特徴を比較・解説

制震ダンパーとは、住宅など建築構造に組み込むことで地震の揺れから建物を守る装置の総称です。何度も繰り返される地震などの揺れを抑え、建物の構造体へのダメージを低減し、倒壊リスクの軽減、破損防止などの効果が期待出来ます。

今後大地震が想定される日本では災害への備えに欠かせない選択肢の1つと言えるでしょう。

 

1. 制震装置の素材の違いとは?

制震ダンパーの種類によって期待効果が異なります。種類と特徴について詳しく解説します。

 

1-1. ゴムダンパーの特徴

特殊な粘弾性のゴムを制震装置に入れて、地震の揺れに対して伸び縮みさせることで、地震の力を熱の力に変えてダンパーに吸収する仕組みです。

伸びてもまた縮むというゴムの性質を利用することで、オイル系と同様に繰り返しの地震に対して有効です。一方で、揺れだけでなく気温によっても伸び縮みしてしまうため、劣化が早いという欠点があります。また大型の装置のため、施工できる範囲に制限がある点も注意が必要です。

 

 1-2. 金属系ダンパーの特徴

素材の柔軟性を利用し、揺れによって”曲がる”エネルギーを”熱”エネルギーに変換することで揺れを抑えるのが金属系のダンパーです。
他の種類と比較して構造や材料がシンプルであるため、安価であることが特徴です。しかし繰り返しの変形によって劣化や損傷の影響を受けやすいことは大きなデメリットと言えます。また仕組み上、小さな揺れには効果がありません。大地震に対してのみ効果のある装置です。

 

1-3. オイル(油圧)ダンパーの特徴

ダンパーの中にオイルが充填されたタイプです。中の油が緩衝材となって揺れの衝撃を吸収します。他の種類と比べて小型であることが特徴です。

小さな揺れから大きな揺れまで対応が可能であり、地震だけでなく台風による強風にも効果を発揮します。また、劣化や損傷に強いため、繰り返しの揺れにも効果を発揮できるメリットがあります。

一方で、他の種類と比較すると高性能で作りが複雑です。小型であるが故に、建物全体をカバーするためにはある程度の本数が必要です。導入する本数によっては価格が高くなるデメリットがあります。

 

2. 配置方法の違いで比較

制振装置は配置方法でも違いが生じます。外周部配置と内部配置の二種類を紹介していきます。

 

2-1. 外周部配置とは

制震ダンパーを建物の外回りを囲むように配置する方法です。

外周部は重心から離れており、地震のエネルギーが大きく作用される部分です。制震装置を建物の外周部に分散して配置することは、建物全体を粘り強くするのに理にかなった方法と言えます。

 

2-2. 内部配置とは

外周部配置とは反対に「建物内部に十字になるように制震ダンパーを配置する」方法が内部配置となります。

主に大型のダンパーはこの配置になることが多いです。外周部配置との最大の違いは、大型の制震装置であるが故に、住宅の間取りを考慮しなければならないことです。

 

2-3. 比較検討の際に大切なこと

家の構造上、負荷のかかる部分にしっかりとダンパーが入っているかが大切です。おまけのような形で、柱や壁の一部に飾るような設置では意味がありません。

また、制震装置に過度な期待をする前に、まずは建物そのもので安全な構造をしっかりと作ることが大切と言えるでしょう。

 

3. まとめ

この記事では制震ダンパーとは何か?その種類と特徴を比較解説しました。

大切な家族を災害から守るためには、ご自宅の状況、地域の事情に応じて、効果が実証されている信頼性の高い商品を選ぶことをおすすめします。

Copyright © 2024 Seishin System